月別アーカイブ 2024年8月

食中毒関連

横浜市 黄色ブドウ球菌による食中毒 追報(指導内容)

8月5日記者発表資料

うなぎ弁当による食中毒の第二報として、横浜市保健所が発表資料として内容を公開したため、

今後、食中毒対策の参考に一部内容を転記しております。

飲食店調理従事者の方、施設の調理従事者の方は、ご参考にしていただければと思います。

4 推定される食中毒発生の要因と指導内容

推定される要因 指導内容
調 理 施 設 内 調理に従事していた従業員の手洗いが不十分であ り、手袋の着用実態も認められなかったことから、 従業員の手指を介した汚染の可能性がある。 ・手洗い器は常時使用できる状態を保ち、手 洗い方法(頻度、使用する薬剤及び使用方 法)について見直すこと。
当日は、体調・手指の傷等の健康状態に関する記録 表が十分に記載されておらず、責任者による健康状 態の確認もできていなかった。 •調理従事者の手指の傷、荒れ等を含む健康 確認を徹底し、記録を適切に実施すること。 また、手指の傷等が確認された場合は、手袋 の着用等の対策を徹底すること。 •HACCPに沿った衛生管理の記録を適切に行 うこと。
調理施設内のふきとり検査で同菌が検出されたこと から、施設が汚染されていた可能性がある。 •施設内や調理器具等は適切に清掃消毒を実 施すること。
そ の 他 営業者による従業員への十分な衛生教育が行われて いなかった。 ・全ての調理従事者に、本件をふまえた衛生 教育を受講させること。
弁当の一部は、調理場の外である客席で盛付を行っ ていた。 ・許可を得た調理場以外での調理行為を行わ ないこと。
販売された弁当が長時間保管されたことにより、同 菌が当該食品中で増殖した可能性がある。 •営業者で定めた食品の保管時間と保管方法 を遵守すること。
当日の調理工程の全体(各従事者の作業内容)を把 握している者がおらず、作業に応じた衛生上の指示 や教育が適切に行われていなかった可能性がある。 •調理工程ごとの衛生管理が適切に行えるよ う体制を整えること。 •営業者で定めたHACCPに沿った衛生管理を 徹底すること。
生産能力を上回る弁当•総菜の調理を行ったこと で、従来の工程と異なる作業や保管が生じ、食中毒 発生の危害を増大させた可能性がある。

※HACCP とは食品の製造工程を分析し、重要な管理点を定めて管理することにより食品の安全を
衛生管理の手法です。原則全ての事業者に「HACCP に沿った衛生管理」が制度化されています。

ジェスパは平成20年8月に第三者機関にて、黄色ブドウ球菌の効果検証を実施しています。

今回検出された原因菌は黄色ブドウ球菌ですが、「推定される要因」に記載されている内容を施設の現状と照らし合わせて、再点検してはいかがでしょうか。

発表資料の原文はこちらからダウンロード可能です。

リンク先は、横浜市記者発表2024年度 です。

リンク先が消失した場合、原文はこちらにもアップロードしています。

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ニュース

黄色ブドウ球菌による食中毒

横浜市の百貨店で黄色ブドウ球菌の食中毒

横浜市の百貨店で、7月24日から25日にかけて販売されたうなぎ弁当が原因で、161人の方が、下痢やおう吐の症状を発症。

保健所が検査の結果、黄色ブドウ球菌による食中毒と断定。

また、90代の方が1名お亡くなりになっていますが、食中毒による因果関係は不明としています。

黄色ブドウ球菌とは?

1 黄色ブドウ球菌とは?

黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)は、ヒトや動物の皮膚や鼻腔に常在する細菌で、特定の条件下で食品中に繁殖し、毒素を生成します。この毒素が食中毒を引き起こします。

2 食中毒の症状

黄色ブドウ球菌による食中毒は、摂取後数時間以内に発症することが多く、症状には以下が含まれます:

  • 吐き気
  • 嘔吐
  • 腹痛
  • 下痢 これらの症状は通常24時間以内に治まりますが、重症の場合は医療機関を受診する必要があります。

3 食中毒の原因

黄色ブドウ球菌による食中毒の主な原因は、不適切な食品の取り扱いです。特に次のような状況で発生しやすいです:

  • 手洗いの不徹底
  • 加熱不足
  • 保存温度の不適切
  • 調理後の長時間放置

黄色ブドウ球菌が繁殖する人体の場所と予防のポイント

<鼻腔>

繁殖場所:

  • 黄色ブドウ球菌は特に鼻腔内に多く常在しています。健康な成人の約30%が鼻腔に黄色ブドウ球菌を保有しています。

予防ポイント:

  • 手洗いの徹底:鼻をかんだり、鼻に触れた後は必ず手を洗う。
  • マスクの使用:特に調理中にマスクを使用することで、飛沫による食品汚染を防ぐ。

<皮膚>

繁殖場所:

  • 皮膚表面、特に湿った部位(腋の下、鼠径部など)に繁殖しやすいです。

予防ポイント:

  • 清潔を保つ:日常的にシャワーを浴び、皮膚を清潔に保つ。
  • 傷の手当て:皮膚に傷がある場合は、適切に消毒し、包帯などで保護する。

<口腔内>

繁殖場所:

  • 口の中や喉にも存在することがあります。

予防ポイント:

  • 口腔ケア:歯磨きやうがいをこまめに行い、口腔内を清潔に保つ。

<手>

繁殖場所:

  • 手の表面に菌が付着しやすく、手を介して食品や他の物に菌を広げるリスクがあります。

予防ポイント:

  • 手洗いの徹底:調理前、トイレ後、ゴミを触った後など、頻繁に手を洗う。
  • 手袋の使用:調理中に手袋を使用することで、手からの汚染を防ぐ。

気をつけるポイント

1 衛生管理

手洗いは基本中の基本です。調理前後やトイレの後、鼻をかんだ後など、こまめに手を洗うことで、黄色ブドウ球菌の拡散を防ぎます。また、調理器具や調理台の清掃も重要です。

2 食品の適切な保存

冷蔵庫や冷凍庫を適切に使用し、食品の保存温度を管理することが重要です。特に生肉や乳製品などは、長時間室温に放置しないよう注意しましょう。

3 十分な加熱と毒素の問題

黄色ブドウ球菌自体は加熱処理で死滅させることができますが、この細菌が生成するエンテロトキシン(毒素)は非常に耐熱性があり、通常の調理温度では分解されません。そのため、細菌を加熱処理で殺すことはできても、既に生成された毒素が残っている場合、食中毒のリスクは依然として存在します。

対策:

  • 十分な加熱:食品を中心部までしっかりと加熱し、細菌を殺す。
  • 適切な保存:細菌が毒素を生成する前に食品を適切に保存し、早めに消費する。
  • 衛生管理:調理器具や手の清潔を保ち、細菌の繁殖を防ぐ。

<まとめ>

黄色ブドウ球菌による食中毒は、適切な衛生管理と食品の取り扱いで予防可能です。特にエンテロトキシンの耐熱性を理解し、菌の繁殖を防ぐことが重要です。日常生活でのちょっとした注意が、食中毒のリスクを大きく減少させます。家庭や職場での食品衛生に気を配り、安全な食生活を心がけましょう。

また、ジェスパは平成20年8月に第三者機関にて、黄色ブドウ球菌の検査を実施しています。

黄色ブドウ球菌の特徴を理解し食中毒対策にお役立て下さい。

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